医院ブログ

2026.02.26

妊娠中に歯医者に行っても大丈夫?マタニティ歯科で知っておきたいこと

妊娠中に歯医者に行っても大丈夫?マタニティ歯科で知っておきたいこと

こんにちは。上本町の歯医者「上本町ヒルズ歯科クリニック」の院長、永井です。

妊娠が分かって喜びいっぱいの中、ふと「そういえば、歯医者の予約をキャンセルしないと…」と思った経験はありませんか?あるいは、「歯が痛いけど、妊娠中だから我慢しなきゃ」と悩んでいる妊婦さんもいらっしゃるかもしれません。

実は、妊娠中こそ歯科検診が大切な時期なのです。今日は、マタニティ歯科について、妊婦さんが知っておきたい情報を詳しくお伝えします。赤ちゃんのためにも、ご自身のためにも、ぜひ最後までお読みください。


目次


妊娠中に歯医者に行っても本当に大丈夫?

結論から申し上げますと、妊娠中でも歯医者に通うことは可能ですし、むしろ推奨されています。ただし、時期や治療内容については配慮が必要です。

妊娠中の歯科治療は安全です

多くの妊婦さんが「レントゲンは大丈夫?」「麻酔は赤ちゃんに影響しない?」と心配されますが、適切な配慮のもとで行えば、歯科治療は妊娠中でも安全に受けられます。

日本歯科医師会や日本産婦人科医会も、妊娠中の歯科検診と必要な治療を推奨しています。むしろ、痛みや炎症を我慢することの方が、ストレスとなって母体や赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があります。

なぜ妊娠中の歯科検診が大切なのか

妊娠中はホルモンバランスの変化により、お口の中の環境が大きく変わります。虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、歯周病が早産や低体重児出産のリスクを高めるという研究結果も報告されています。

また、生まれてくる赤ちゃんの虫歯リスクは、お母さんのお口の健康状態に大きく影響されます。妊娠中からお口のケアをしっかり行うことは、赤ちゃんのためでもあるのです。

母子手帳にも記載されています

母子手帳を開いてみてください。「妊娠中と産後の歯の状態」というページがあるはずです。これは、妊娠中の歯科検診がいかに重要視されているかを示しています。

多くの自治体では、妊婦歯科検診の助成制度もあります。ぜひ活用してください。


妊娠中のお口に起こる変化

妊娠すると、体だけでなくお口の中にも様々な変化が起こります。これらの変化を知っておくことで、適切な対策ができます。

妊娠性歯肉炎

妊娠中、特に妊娠2ヶ月から8ヶ月頃に、歯茎が腫れたり出血しやすくなったりすることがあります。これを「妊娠性歯肉炎」と呼びます。

妊娠によってエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが増加すると、歯茎の血管が拡張し、炎症が起きやすくなります。また、これらのホルモンを好む歯周病菌が増殖しやすくなることも原因の一つです。

妊娠性歯肉炎の症状

  • 歯茎が赤く腫れる
  • 歯みがきで出血しやすい
  • 歯茎がむずむずする
  • 口臭が気になる

多くの場合、出産後にホルモンバランスが戻ると自然に改善しますが、放置すると本格的な歯周病に進行する可能性があります。

唾液の質と量の変化

妊娠中は唾液の分泌量が減ったり、唾液の質が変わったりすることがあります。唾液には、お口の中を洗浄したり、酸を中和したりする大切な働きがあります。

唾液が減ると、お口の中の自浄作用が低下し、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

つわりによる影響

つわりがひどいと、歯みがきができなくなったり、嘔吐による胃酸で歯が溶けやすくなったりします。また、食べづわりで少量ずつ頻繁に食べる習慣がつくと、お口の中が常に酸性になり、虫歯リスクが高まります。

食の好みの変化

妊娠中は味覚が変わり、酸っぱいものや甘いものを好むようになることがあります。これらの食べ物は歯を溶かしやすいため、注意が必要です。


妊娠中に歯科治療を受けるベストタイミング

妊娠期間を3つに分けて、それぞれの時期に適した対応をご説明します。

妊娠初期(妊娠1〜4ヶ月)

この時期は胎児の器官形成期であり、最も慎重になるべき時期です。つわりもあり、体調が不安定な方も多いでしょう。

この時期の対応

  • 緊急でない治療は避ける
  • 痛みや腫れがある場合は応急処置のみ
  • 歯科検診とクリーニングは可能
  • 歯みがき指導を受けるには良い時期

つわりで歯みがきが辛い場合の対処法など、具体的なアドバイスを受けておくと良いでしょう。

妊娠中期(妊娠5〜7ヶ月)

安定期と呼ばれるこの時期が、歯科治療を受けるベストタイミングです。つわりも落ち着き、体調も比較的安定しています。

この時期の対応

  • 虫歯治療や歯周病治療が可能
  • 親知らずの抜歯なども検討できる
  • 歯石除去やクリーニングに最適
  • 出産後に通院が難しくなる治療を済ませておく

当院では、妊娠中期の妊婦さんには特に積極的に検診をお勧めしています。出産後は赤ちゃんのお世話で忙しくなり、自分のことが後回しになりがちです。この時期にしっかりケアしておきましょう。

妊娠後期(妊娠8ヶ月以降)

お腹が大きくなり、診療台に長時間仰向けになるのが辛くなってきます。また、いつ陣痛が来てもおかしくない時期でもあります。

この時期の対応

  • 緊急でない治療は出産後に延期
  • 短時間の検診やクリーニングは可能
  • 痛みがある場合は応急処置を行う
  • 出産後の治療計画を立てておく

診療台での姿勢が辛い場合は、遠慮なくスタッフに伝えてください。体を起こしたり、左側を少し下にしたりするなど、楽な姿勢で対応します。


妊娠中の歯科治療で心配なこと

妊婦さんからよく質問される内容について、詳しくお答えします。

レントゲン撮影は大丈夫?

歯科のレントゲンは、お口の部分だけを撮影するため、お腹から離れています。また、撮影時には必ず防護エプロンを着用しますので、お腹の赤ちゃんへの影響はほとんどありません。

歯科用レントゲンの被ばく量は、飛行機で東京〜ニューヨーク間を往復する時に浴びる自然放射線よりも少ない量です。

ただし、妊娠初期や、妊婦さんが不安を感じる場合は、緊急性がなければ撮影を延期することも可能です。

麻酔は赤ちゃんに影響しない?

歯科で使用する局所麻酔は、使用量が非常に少なく、作用する範囲も限られているため、お腹の赤ちゃんへの影響はほとんどありません。

むしろ、痛みを我慢することによるストレスの方が、母体と赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があります。必要な場合は、麻酔を使用した方が良いこともあります。

当院では、妊婦さんに対して、より安全性の高い麻酔薬を選択し、必要最小限の量で使用するよう心がけています。

薬は飲んでも大丈夫?

妊娠中は基本的に投薬を避けますが、どうしても必要な場合は、妊娠中でも安全に使用できる薬を選択します。

痛み止めや抗生物質が必要な場合は、産婦人科の先生と連携を取りながら、安全な薬を処方します。自己判断で市販薬を飲むよりも、歯科医師に相談してください。

治療中に気分が悪くなったら?

治療中に気分が悪くなったり、お腹が張ったりした場合は、すぐにスタッフに伝えてください。治療を中断し、楽な姿勢で休んでいただけます。

また、診療台に長時間仰向けになると、大きくなった子宮が血管を圧迫して、気分が悪くなることがあります(仰臥位低血圧症候群)。これを防ぐため、体の左側を少し下にした姿勢で治療を行うこともあります。


妊娠性歯肉炎を予防する方法

妊娠中は歯肉炎になりやすいですが、適切なケアで予防することができます。

丁寧な歯みがき

妊娠中は、いつも以上に丁寧な歯みがきを心がけましょう。特に、歯と歯茎の境目を意識して磨くことが大切です。

歯みがきのポイント

  • 柔らかめの歯ブラシを使う
  • 歯茎を傷つけないよう優しく磨く
  • 1日2〜3回、食後に磨く
  • 夜寝る前は特に丁寧に
  • 歯間ブラシやフロスも併用する

歯科医院でのプロフェッショナルケア

自宅での歯みがきだけでは、完全に汚れを取り除くことはできません。定期的に歯科医院でクリーニングを受けることをお勧めします。

当院では、妊婦さん専用の予防プログラムも用意しています。安定期に入ったら、ぜひ一度受診してください。歯周病のリスクチェックと、プロによる徹底したクリーニングを行います。

栄養バランスの良い食事

歯茎の健康には、ビタミンCやビタミンB群、カルシウムなどの栄養素が大切です。つわりで食べられるものが限られることもありますが、できる範囲でバランスの良い食事を心がけましょう。

十分な休養とストレス管理

疲れやストレスは免疫力を低下させ、歯肉炎を悪化させる原因になります。無理をせず、十分な休養を取りましょう。


つわりがひどい時の口腔ケア

つわりで歯みがきが辛い時期でも、お口のケアを諦めないでください。工夫次第で乗り越えられます。

歯みがきができない時の対処法

歯ブラシのサイズを変える

大きな歯ブラシが喉に当たって嘔吐反射を引き起こすことがあります。ヘッドの小さい歯ブラシや、子ども用の歯ブラシを試してみてください。

歯みがき粉を変える

歯みがき粉の香りや味で気分が悪くなる場合は、無香料・無味のものや、フッ素だけのシンプルなものに変えてみましょう。また、歯みがき粉なしで磨くだけでも効果はあります。

うがいだけでも

どうしても歯みがきができない時は、食後に水やお茶でうがいをするだけでも効果があります。可能であれば、フッ素入りの洗口液を使うとより良いでしょう。

ガムを噛む

キシリトール配合のガムを噛むことで、唾液の分泌が促進され、お口の中の自浄作用が高まります。

嘔吐した後のケア

つわりで嘔吐した後は、お口の中が酸性になっています。すぐに歯を磨くと、酸で柔らかくなった歯を傷つけてしまう可能性があります。

嘔吐後の対処法

  1. まず水やお茶でうがいをする
  2. 30分ほど時間を置く
  3. それから優しく歯を磨く

すぐに歯みがきをしたい場合は、フッ素入りの洗口液でうがいをするだけにとどめておきましょう。

食べづわりの場合

食べづわりで少量ずつ頻繁に食べる場合、お口の中が常に酸性になり、虫歯のリスクが高まります。

対策

  • 食べた後は水やお茶でうがいをする
  • 虫歯になりにくいおやつを選ぶ(チーズ、ナッツなど)
  • キシリトールガムを噛む習慣をつける
  • 寝る前の歯みがきは特に丁寧に

妊娠中の歯科検診で受けられること

妊婦歯科検診では、以下のような内容を行います。

お口の中の健康チェック

  • 虫歯の有無と進行状況
  • 歯茎の状態(歯肉炎や歯周病のチェック)
  • 歯石の付着状況
  • 親知らずの状態
  • 噛み合わせの確認

プロフェッショナルクリーニング

歯科衛生士による専門的なクリーニングで、自宅では取り切れない歯石や歯垢を除去します。これにより、妊娠性歯肉炎の予防や改善が期待できます。

ブラッシング指導

妊娠中の口腔ケアのポイントや、つわり時の対処法など、具体的なアドバイスを受けられます。出産後の赤ちゃんのお口のケアについても、この時期から学んでおくと良いでしょう。

食生活のアドバイス

妊娠中の栄養バランスと、お口の健康を両立するための食生活についてアドバイスします。つわりで食べられるものが限られている場合の工夫なども相談できます。


生まれてくる赤ちゃんのために今できること

実は、妊娠中のお母さんのお口のケアは、生まれてくる赤ちゃんの虫歯予防にも大きく関係しています。

虫歯菌は感染する

赤ちゃんは、生まれた時にはお口の中に虫歯菌を持っていません。多くの場合、主に養育者(お母さんやお父さん)から感染します。

お母さんのお口の中の虫歯菌が少なければ、赤ちゃんへの感染も最小限に抑えられます。つまり、妊娠中にお母さんが歯科治療を受けて、お口の中を健康に保つことが、赤ちゃんの虫歯予防の第一歩なのです。

マイナス1歳からの虫歯予防

当院では「ハイハイクラブ」という、マイナス1歳(つまり妊娠中)からの虫歯予防プログラムを実施しています。

プログラムの内容

  • 妊娠中のお口のケアと治療
  • 赤ちゃんのお口の発達について学ぶ
  • 虫歯菌の感染予防について
  • 離乳食とお口の健康の関係
  • 出産後の定期検診プラン

妊娠中から参加することで、生まれてくる赤ちゃんを虫歯から守る知識と習慣を身につけることができます。

パートナーも一緒に

虫歯菌の感染はお母さんからだけではありません。お父さんや祖父母など、赤ちゃんと接する人のお口の健康も大切です。

ぜひご家族みんなで歯科検診を受けて、お口の健康を整えておきましょう。当院では、ご夫婦やご家族での受診も歓迎しています。


まとめ:妊娠中の歯科ケアチェックリスト

長くなりましたが、妊娠中の歯科ケアについてお話しさせていただきました。最後に、実践していただきたいポイントをまとめます。

妊娠が分かったらすぐに

  • かかりつけの歯科医院に妊娠を報告する
  • 母子手帳をもらったら、妊婦歯科検診の情報を確認する
  • つわりに備えて、小さめの歯ブラシを用意する
  • フッ素入りの洗口液を準備する

妊娠初期(1〜4ヶ月)

  • つわりがひどくても、できる範囲でお口のケアを続ける
  • 嘔吐後は30分置いてから歯みがきする
  • 痛みや腫れがある場合は、我慢せず歯科医院に相談する
  • 緊急でない治療は安定期まで待つ

妊娠中期(5〜7ヶ月)

  • 必ず歯科検診を受ける
  • 虫歯や歯周病があれば治療を受ける
  • プロフェッショナルクリーニングを受ける
  • 出産後に通院が難しくなる治療を済ませる
  • 赤ちゃんのお口のケアについて学び始める

妊娠後期(8ヶ月以降)

  • 短時間の検診やクリーニングは継続する
  • 緊急でない治療は出産後に延期する
  • 出産後の治療計画を立てておく
  • パートナーも一緒に歯科検診を受けておく

毎日のケア

  • 1日2〜3回、食後に歯みがきをする
  • 夜寝る前の歯みがきは特に丁寧に
  • 歯間ブラシやフロスも使う
  • できない時は水やお茶でうがいだけでも
  • 栄養バランスの良い食事を心がける
  • 十分な休養を取る

妊娠中は体調が不安定で、自分のことが後回しになりがちです。でも、お口の健康は、お母さん自身の健康だけでなく、お腹の赤ちゃんの健康にも直結しています。

当院では、妊婦さんが安心して通えるよう、体調に配慮した診療を心がけています。診療台の角度を調整したり、こまめに休憩を取ったり、一人ひとりのペースに合わせて対応します。

また、火曜日と木曜日の午前中は保育サービスも実施していますので、上のお子さんがいらっしゃる妊婦さんも安心してご来院いただけます。保育士がお子さんをお預かりしている間に、ゆっくりと検診やクリーニングを受けていただけます。

妊娠中の歯科治療や検診について、不安なことや疑問に思うことがあれば、どんな小さなことでも遠慮なくご相談ください。産婦人科の先生とも連携を取りながら、安全に配慮した診療を行います。

上本町ヒルズ歯科クリニックは、大阪赤十字病院のすぐ西隣にあります。産婦人科通院の際に立ち寄りやすい立地です。複合型クリニックモール内にあるため、産婦人科や内科など、他の診療科との連携もスムーズです。

マイナス1歳からの虫歯予防、妊娠中のお口の健康管理、そして出産後の赤ちゃんとママの予防ケアまで、長期的にサポートさせていただきます。

元気な赤ちゃんを迎えるために、そして産後も健康なお口を保つために、ぜひ妊娠中から歯科検診を受けてください。皆さまのご来院を、スタッフ一同心よりお待ちしています。


上本町ヒルズ歯科クリニック
院長 永井美也子

診療時間
平日:9:00〜13:00 / 14:30〜18:30
土曜:9:00〜13:00 / 14:00〜18:00
休診日:水曜・日曜・祝日

所在地
〒543-0027
大阪府大阪市天王寺区筆ヶ崎町5-52-201
(大阪赤十字病院西隣、ウェルライフ上本町2F)

お問い合わせ
TEL: 06-6774-4182

保育サービスについて
火曜日・木曜日の午前中、保育士がお子さまをお預かりします。
上のお子さんがいらっしゃる妊婦さんも安心してご来院いただけます。
別途費用は不要です。ご予約時にお申し付けください。

妊婦歯科検診について
大阪市の妊婦歯科検診受診券がご利用いただけます。
母子手帳をお持ちください。